ひどい生理痛で困っています。
ちょっと生理不順もあります。
身体が冷えたりしてませんか?
女性で生理不順の方で
冷え性じゃない人がいないくらいです。
どうなったら月経(生理)不順なのか?
健康な女性の身体において生理(月経)は
女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンなどの増減によって起こっています。
大体、生理は25~38日程度の周期で平均的には28~30日周期に定期的にやってくるといわれています。
継続的に24日以下の周期で生理があったり、39日以上の間隔だと生理不順の状態です。
生理がいつ来るのか予想できないものも、周期がバラバラなものも、生理不順です。
一方で誰しも少々、生理のサイクルが乱れることはありますし、個人差もあります。
例えば毎月、規則正しく生理がきているのに、ある月だけ40日で生理がやってきた場合などは過度の心配はありません。
東洋医学による月経(生理)不順の鍼灸治療
月経(生理)の周期に異常がみられるものを総称して「月経不調」といいます。
東洋医学では、
月経周期が早まるものを「経早」、
遅れるものを「経遅」、
早くなったり遅くなったり前後不定期なものを「経乱」
とよんで区別します。
またそれぞれ経量(月経の量)や経色(月経の色)、経質(月経の質)などに変化が見られ分類されます。
病因 | 経量 | 経色 | 経質 | 治療 | ||
経早 | 実熱 | 元々体力がある人が辛い物を嗜食すると熱が生まれやすくなり、その熱が子宮にこもり活動が活発になることによるもの | 多い | 鮮紅又は紫紅 | 粘稠 | 熱を取って気血の流れをスムーズにする治療 |
肝鬱化熱 | 感情の抑鬱が激しい人に多く、経量は多い場合も少ない場合もあります。経色は紅または紫、経質は粘稠で塊がみられることがあります。また、胸や脇腹が張ることもある | 多い場合と少ない場合がある | 紅又は紫 | 粘稠で血塊が混入することがある | 肝気の流れを改善させ気血の流れをスムーズにさせる治療 | |
陰虚血熱 | 慢性疾患があり、人体の構成成分である陰液(津液・血・精)が不足すると、相対的に陽が亢進し熱が生じる(陰虚内熱) | 少ない | 紅 | 粘稠 | 陰気を補って熱を取る治療 | |
気虚 | 虚弱体質な人が飲食不節や過労により、気の作用の一つにある血を固める力が不足することによるもの | 多い | 淡 | 清稀 | 気を補い血が生成されやすくする治療 |
病因 | 経量 | 経色 | 経質 | 治療 | ||
経遅 | 寒凝 | 月経期や産後で子宮が開いている時に、風寒の邪や冷たいものの飲食により体を冷やすと、血が滞ることによるもの | 少ない | 暗紅 | 正常又は 血塊 | 子宮と関係の深い任脈、衝脈を温め、気血の流れを浴する治療 |
陽虚 | 虚弱体質で温める力が不足していたり、病気が長引いているなどにより臓腑を温められないことで、臓腑機能が低下し、血がうまく作れなくなることによるもの | 少ない | 淡 | 清稀 | 腎気を補い身体の冷えを取り除いていく治療 | |
気鬱 | 平素から抑鬱気味で気・血・津液を全身に巡らせる機能が低下することによるもの | 少ない | 正常 | 正常 | 気の流れを改善し血液循環を浴する治療 | |
血虚 | 病後や出産過多による血の嘘損や飲食不節や過労により血を作る臓腑の力が不足することによるもの | 少ない | 淡 | 清稀 | 血を補い衝脈の気を豊かにし、血の元を作り出す消化器系を充実させる治療 |
病因 | 経量 | 経色 | 経質 | 治療 | ||
経乱 | 肝鬱 | 抑鬱や激怒により、血の排泄量や運行を調節している肝が傷害されることによるもの | 多い又は少ない | 正常 | 正常 | 肝気の流れを改善させ、肝気がスムーズに全身に行き渡るようにする治療 |
腎虚 | エネルギーをためる腎の気が先天的に不足していたり、出産過度であると腎の機能が衰えて血の調節がうまくいかなくなることによるもの | 少ない | 淡 | 清稀 | 腎気を補う治療で、肝気を調え腎機の充実を図り肝気がスムーズに流れるようにする治療 |
東洋医学による月経(生理)痛の鍼灸治療
月経期あるいはその前後に生じる下腹部や腰の痛みを「痛経」と呼びます。東洋医学での痛みの原因は、「つまっている(不通則痛)」か「栄養が足りない(不栄則痛)」かであり、気血のめぐりが悪くなり起こり、痛経の場合も同じです。また月経には、血を貯え、全身に程よく血を供給する「肝」と、生命エネルギーを貯えている「腎」が深く関わっています。
分類としては「寒湿凝滞」「肝鬱気滞」「肝腎虚損」の3つに分類されます。
「腎」は人の身体のエネルギーの源。
https://hashimoto-tamon.com/jintoiuzouki/02/
「腎」については、こちらの記事も参照です。
病因 | 痛みの程度 | 経量 | 経色・経質 | 治療 | ||
痛経 | 寒湿凝滞 | 雨に濡れる、生もの冷たいものの飲食、湿気の多い所に長時間いることなどにより、寒湿の邪が胞宮(子宮)に入ることによるもの | 冷痛…(冷えと痛み温めると軽減するもの) | 少なめ | 暗紅 | 子宮と関係の深い任脈、衝脈を温め、気血の流れを浴する治療 |
肝鬱気滞 | 精神的なストレスや怒りという感情により「肝」に影響及ぼし、気血のめぐりや伸びやかさが悪くなることによるもの | 脹痛…(痛みよりも張りが強い) | 少なめ | 血塊がある | 腎気を補い身体の冷えを取り除いていく治療 | |
肝腎虚損 | 生まれつき虚弱で「肝」「腎」が弱かったり、房事(性行為)過多野よって肝血や腎精が不足することによるもの | 隠痛…(我慢できる程度の痛み) | 少なめ | 淡泊 清希 | 気の流れを改善し血液循環を浴する治療 |
西洋医学による月経(生理)不順の治療
西洋医学では基本的に薬を使った「薬物療法」が中心です。
3ヶ月以上月経がない場合はとにかく出血を来させるために、ホルモン剤を飲んだり注射で補ったりします。
ただし、月経不順が別の病気のせいで起こっている場合は、まずそちらを治療する必要があります。
また、極端なダイエットによって月経が来なくなっている場合は、体重を元に戻すことが最優先です。
この場合は無理に来させることが体にとって負担となってしまうからです。
体重が元に戻れば月経も自然に回復してくることがあります。
一時的なストレスや環境の変化、血液検査でホルモンバランスが保たれていると分かっている場合などは、薬で一度月経を来させて基礎体温をつけながら様子を見る、また、元々月経不順で月経が来なくなっていたり、血液検査で女性ホルモンが少なくなっている場合は最低3ヶ月は薬を飲み続けて月1回の月経を来させるようにすることが望ましいとされています。
月経は子宮の中を掃除しているようなものなので、月経不順でこの掃除がなされていないと古くなった子宮内膜が溜まって子宮の病気のリスクが高まることもあるため、薬を使ってでも定期的に月経を来させることが必要とされています。
西洋医学による月経(生理)痛の治療
ひどい月経痛を伴う月経困難症には、
原因がはっきりしている「器質性月経困難症」と
はっきりとした原因は不明だけど、痛みがひどい「機能性月経困難症」があります。
治療は機能性や器質性でも手術などの治療が必要ない場合は生活改善や、薬を上手く使って「痛みをとること」です。
生理不順や生理痛に悩んでいる女性のほぼすべてに共通しているのが冷え性(冷え症)です。
冷えは血の流れを悪くしてしまうので子宮の栄養状態が悪くなり生理不順、生理痛、不妊症を起こしやすくなります。
まずはこれ以上身体を冷やさないようにすることが大切です。
特に「冷え」の改善は月経痛だけでなく多くの婦人科疾患の改善につながることが期待できます。冷たいものの飲食を控え、発酵食品を多く摂る、定期的な運動や湯船にきちんとつかるなどです。また良質な睡眠、ストレスの緩和も大切です。そこまでひどくない月経痛であれば、生活の改善だけでも薬が不要になることもあります。
薬を使用する場合は、痛み止めを「少し痛いかな・・・」というくらいの時に飲むことでその後何度も飲まなくてすむことが多いです。
だけどこれは、あくまでも治療ではなく痛みを抑えているだけという対症療法なので、完治しているワケではありません。
器質性月経困難症の場合はホルモン剤を使うことが多いようです。
3ヶ月以上薬を飲んでも改善しない場合は主治医と相談する必要があります。
また、内膜症や筋腫がある人は手術という選択肢もあります。
手術以外の治療が無効で痛みがひどい場合は手術を検討することが望ましいとされています。
まとめ
- 月経(生理)の周期に異常がみられるものを総称して「月経不調」
- エストロゲンやプロゲステロンなどの増減によって起こる。
- 不順な方で冷え性でない人はいない。
- 「腎」を強くすると効果的。
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