【症例紹介】アトピー性皮膚炎は治らないのか?

治療

孫がアトピーで

可愛そうで…。

多聞先生
多聞先生

アトピーだと生活が大変ですね。

東洋医学による鍼灸治療

中医学では、アトピー性皮膚炎は皮膚のかゆみの病、と定義します。
そのタイプによって、症状もひどくなる季節等なども変わってきます。

1.血熱の皮膚掻痒

青壮年に好発します。
皮膚をかくと線状の血痕が残ります。
夏に増悪し冬に軽快します。
また温めるとひどくなり、冷やすとマシになります。

口が乾いたり・イライラ、焦燥感がある場合があります。
辛いものや刺激物、熱いものをたくさん食べると、血熱生風を生じて発症します。
治法は涼血清熱・消風止痒です。

2.風湿の皮膚掻痒

青壮年に多く、夏秋にひどくなります。

皮膚に痒みがあり、掻破すると水疱・丘疹・びらん、滲出液が生じます。
濃厚なもの・脂っこいもの・甘いもの・辛香の物・熱い物などを過食すると体内に湿邪が留滞し、さらに風邪を外感して、風邪と湿邪が結したために発生します。
治法は散風除湿です。

3.風盛の皮膚掻痒

春に多発し、慢性に経過します。

いろいろなところに痒みが移動する遊走性の全身性掻痒があり、次第に皮膚が肥厚して苔癬化します。
肌膚のそう理が固密でないために風邪を感受し、風邪が長期間鬱滞して化熱したことにより発生します。
治法は、捜風清熱・敗毒止痒です。

4.風寒の皮膚掻痒

冬季に多発します。

頭部・顔面・頚部・前胸・面手などの露出部に掻痒感があり、寒いと増悪し、暖かいと汗がでて軽快します。
陽気が不足して抵抗力が減弱し、風寒の邪を外感して発生します。
治法は駆風散寒です。

自律神経免疫療法では、アトピー性皮膚炎は、副交感神経優位の状態が続くことによって、アセチルコリンの過剰作用により、リンパ球が増加し、抗原に反応しやすくなって引き起こされる、とします。
自律神経免疫療法によって副交感神経優位を改善し、痒みを抑え皮膚の柔らかさを回復することができます。

アトピー性皮膚炎とは

1.はじめに

アトピー性皮膚炎の診療の場において、治療の大きな柱であるステロイド外用剤に対して、患者さらには社会一般に不信感が生じ、ステロイド外用剤を忌避する風潮が強まった結果、必要かつ適切な治療を施せないままに重症化し、結果的に患者に多大なる不利益が生じている事態に対して、皮膚科医は困惑しています。
以上の経緯により、皮膚科医のみならず、患者並びに社会に対して、日本皮膚科学会として現時点で適切と考えられる基本方針を提示したものが、日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」です。

参考にしたガイドラインは、文章がかなり難しいので、できるだけ優しい言葉で表現しようと思いますが、いずれは原典を参照していただければ、と思います。
また、このガイドラインを参考にしたうえで、治療の柱の1つとして、鍼灸治療をぜひご検討ください。

2.病態

アトピー性皮膚炎とは、表皮、なかでも角層の異常による皮膚の乾燥とバリアー機能の異常を伴い、いろいろな非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関係して生じる、痒みを伴う慢性の炎症で、湿疹・皮膚炎群の一疾患です。
また、慢性に経過することが多いですが、適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると、自然に治ることも期待させる病気です。

3.重症度

治療の主体である外用療法の選択は、「個々の皮疹の重症度」によりなされるものであり、皮疹の重症度と皮疹の広がりから評価される「疾患としての重症度」より決定されるものではありません。
すなわち、範囲は狭くとも高度な皮疹には、充分に強力な外用療法が選択されますが、範囲は広くとも軽度の皮疹には強力な外用療法は必要ありません。
体の皮疹の状態を一律に判断するのではなく、部分部分で治療法を変えるべきです。

1)皮疹の性状
乾燥、紅斑(腫脹/浮腫/浸潤の度合、苔癬化の度合)、丘疹(充実性、漿液性)、痒疹結節、鱗屑(粃糠状、葉状、膜様など)、痂皮(血痂)、水疱、膿疱、びらん、潰瘍、掻破痕、色素沈着、色素脱失など。

2)皮疹の重症度
重症:高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などを主体とする。
中等症:中等度までの紅斑、鱗屑などを主体とする。
軽症:乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする
軽微:炎症症状に乏しく乾燥症状などを主体とする。

4.治療の目標

治療の目標は患者を次のような状態にもっていくことにあります。

1)症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない。
2)軽微ないし軽度の炎症は持続するも、急性に悪化することはまれで、悪化しても遷延することはない。

5.薬物療法

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり、疾患そのものを完治させることができる薬物療法はありません。
よって対症療法を行うことが原則となります。

1)現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を充分に鎮静できる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されているのはステロイド外用剤です。
他には、非ステロイド系消炎剤外用剤(NSAID外用剤)がありますが、抗炎症作用は極めて弱く、接触皮膚炎を生じることがあるので、その適応範囲は狭いと言えます。
さらに、最近使用が開始された外用剤として、移植免疫抑制薬タクロリムスの外用剤がありますが、成人に限定されるなど、全てのアトピー性皮膚炎の治療に使用しうる薬剤とはなっていません。
よって、治療の基本は、ステロイド外用剤を如何に選択し、使用するか、ということになります。 もちろん薬剤ですので、当然副作用、特に局所性の副作用はありますが、効果の高さと局所性の副作用の起こり易さは一般的には比例することから、必要以上に強いステロイド外用剤を選択することなく、皮疹の重症度に見合った薬剤を適正に選択することが重要です。
ステロイド外用剤に対する誤解(ステロイド内服剤での副作用との混同およびアトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用剤の副作用との混同が多い)から、ステロイド外用剤への恐怖感、忌避が生じ、きちんと薬を用いない事態がしばしばみられます。
その誤解を解くためには、医師は充分な診察時間をかけて説明し、指導することが必要であり、それが治療効果を左右します。
ステロイド外用剤の副作用:ステロイド外用剤を適切に使用すれば、内服剤でみられるような全身的副作用は起こり得ません。
局所的副作用のうち、ステロイド座瘡、ステロイド潮紅、皮膚萎縮、多毛、細菌・真菌・ウイルス皮膚感染症などは時に生じえますが、中止あるいは適切な処置により回復します。
ステロイドの連用による効果の減弱などの事象も通常の使用では起こりません。
ステロイド外用剤の使用後に色素沈着がみられることがありますが、皮膚炎の鎮静後の色素沈着であり、ステロイド外用剤によるものではありません。まれにステロイド外用剤によるアレルギー性接触皮膚炎は生じることはあります。

2)皮膚生理学的異常に対する外用療法
ステロイド外用剤によって充分に炎症が鎮静化した後に、乾燥およびバリアー機能の低下を補い、炎症の再燃を予防する目的で、ステロイドを含まない外用剤でのスキンケアを行う必要があります。
すなわち、軽微な皮膚症状に対しても外用療法を継続する必要があり、これを怠ると炎症が容易に再燃し、ステロイド外用剤の意義の低下につながります。
1日2回の外用を原則としますが、アトピー性皮膚炎が再燃しないことが確認されれば、漸減ないし間歇投与に移行します。副作用としての接触皮膚炎の発生には注意が必要であり、アトピー性皮膚炎の再燃との鑑別は重要です。
ステロイドを含まない外用剤での維持療法中に、アトピー性皮膚炎の再燃がみられた場合は、躊躇することなく、ステロイド外用療法に戻り、炎症の早期の鎮静化および維持療法へと回帰することを目指します。

3)全身療法
アトピー性皮膚炎は痒みを伴うことが特徴であり、掻き破りによる悪化を予防する目的で、抗ヒスタミン剤を使用します。
抗アレルギー剤は外用療法の補助療法としての効果を期待するものであり、単独でアトピー性皮膚炎の炎症を抑制しうるものではありません。

6.悪化因子の検索

患者と医師の間での信頼関係が構築され、上記の薬物療法が充分に行えれば、ほとんどの例では治療の目標を達成しえます。達成し得ない例では、悪化因子の検索が必要となりますが、年齢層により関与が疑われる因子に若干の違いがあります。
乳幼児では、食事アレルゲンの関与がある程度みられます。
それ以降では環境アレルゲン(ダニ、ハウスダストなど)の関与が疑われ、その他、全ての年齢層で外用剤を含めた接触因子、ストレスなどが悪化因子となりうるとされています。
アレルゲンの関連性については、病歴、血液検査、皮膚テストなどを参考に、可能なものであれば除去ないし負荷試験を行ってから判断すべきであり、例えば現れている症状のみ、あるいは血液検査のみで判断してはいけません。
また、アレルゲンが明らかになった場合でも、本疾患は複数の要因が絡んでいるので、アレルゲン除去は薬物療法の補助療法であり、これのみで完治が期待されるものではありません。

7.心身医学的側面

アトピー性皮膚炎の、特に成人の重症例においては、人間関係、多忙、進路葛藤、自律不安などの、アトピー性皮膚炎以外の心理社会的ストレスが関与し、依存症のように掻き破ることによって、自ら皮疹を悪化させている例もまれではありません。
また小児例においても愛情の欲求が満たされない不満から、同様の掻破行動がみられることがあります。このような場合には、心身両面からの治療が必要であり、精神科医を含めたチーム医療が必要となることもあります。
また、このような場合でも、気血のめぐりを改善し、心身の安定を図ることができる鍼灸治療は、効果を発揮します。

8.生活指導

  • 入浴、シャワーにより皮膚を清潔に保つ。
  • 室内を清潔に保ち、適温・適湿の環境を作る。
  • 規則正しい生活を送り、暴飲・暴食は避ける。
  • 刺激の少ない衣服を着用する。
  • 爪は短く切り、掻破による皮膚障害を避ける。
  • ステロイド外用剤の使用によるためでなく、眼の周りの皮疹を掻破、叩打により眼病変(白内障、網膜裂孔、網膜剥離)を生じうることに留意し、顔面の症状が高度な例では眼科医の診察を定期的に受ける。
  • 細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症を生じやすいので。皮膚をよい状態に保つよう留意する。

他にも様々な要因があります。

多聞先生
多聞先生

体調不調を感じたらぜひ玄武堂にご相談を!
http://www.genbudou.com/
電話だけで治療する
リモート(遠隔)治療もやってます!

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました